紛争の内容 
不動産業者Aは、一般個人であるBに対し、住宅建設用の土地(擁壁に面した土地)を販売し、売買代金3,000万円の支払いを受け、所有権移転登記手続きも完了した。
ところが、後日、Bより、「擁壁の構造計算書が存在しないために建築可能な住宅の規模が分からないことが、土地の瑕疵にあたる」として、契約の解除と売買代金3,000万円の返還を求められた。
Bから訴訟を提起されたため、Aの依頼を受けて応訴することになった。

交渉・調停・訴訟などの経過
擁壁は15年以上前に建築されたものであり、建築士のもとにも確認申請を受け付けた役所にも構造計算書(ないしその写し)が残っていなかった。しかし、そのことだけでなく、Bが売買契約後に盛り土をしたことが建築可能な住宅の規模に制約をかけている可能性があり、売主側としてはその点を指摘して土地に瑕疵はない旨の主張を展開した。

本事例の結末
和解成立(AがBに対し、解決金として100万円を支払う)

本事例に学ぶこと
主張・立証が功を奏し、担当裁判官から一審判決の見通し(Bの請求を棄却する可能性が高い)を聞いたうえで、Bによる控訴の可能性も視野に、これ以上の時間・費用・労力をかけないという観点から、解決金を支払う方向での和解を選択した。