紛争の内容
マンションの区分所有者が死亡し、相続人が同マンションの区分所有権・管理費等支払義務を承継しているところ、同相続人にマンションの名義変更や管理費・修繕積立金の支払に応じなかったため、同管理組合は、未納管理費等の回収等の方策を打ちたいとして、弊所にご相談に来られました。
交渉・調停・訴訟などの経過
マンションの元区分所有者から相続により自身が区分所有者になっていることや管理費等の支払いをしなければならないことを管理組合から相続人に通知しましたが、同相続人は「自分は関係ない」などと応じず、管理費等の未納が1年以上にわたり続いておりました。管理組合は、一刻も早く未払いを回収するべく、やむなく弁護士に依頼し管理費等の支払い請求訴訟を管轄裁判所に提起しました。訴訟では管理組合の請求が全て認容されましたが、なお相続人が管理費等を支払わなかったため、管理組合は区分所有法59条に基づく競売請求訴訟を提起しました。その訴訟も管理組合の請求が認容されたため、同判決に基づき、競売の手続をしました。
本事例の結末
結果として競売により本件マンションは競落人の手に渡り、これまで未納となっていた管理費等についても、同競落人が支払ってくれることとなりました。
本事例に学ぶこと
少々お時間等はかかってしまうものの、法的措置をすることにより未納管理費等の回収ができるだけでなく、健全な区分所有権者に代わっていただくことができますので、区分所有法59条の手続は、マンション管理組合にとって最後の手段として意識しておくべきものと感じました。