紛争の内容
隣人が土地の境界を越境して塀を建てたと主張する依頼者が、隣人に対して塀の撤去と土地の明け渡しを請求したという事件です。
交渉・調停・訴訟などの経過
依頼者と隣人は、塀の設置の後、土地家屋調査士に依頼をして境界の確認をしたことがありました。この際、塀が境界を越えて、依頼者の土地の側に越境していることが確認されているのですが、こうした確認を行った際に、土地の所有権の範囲について、両者が合意をしたか否かが争いになりました。
本事例の結末
土地家屋調査士と依頼者と隣人が打ち合わせたときに、それぞれがどのような話を聞いたり、話したりしたのかが、所有権の合意の成立を認定するために問題となりました。検討した結果、所有権について合意をするという所までは、打合せで決まっていなかったという疑いが生じました。
その結果、依頼者の方が塀の撤去を請求しないことに納得し、その代わりに数百万円単位の和解金を隣人から受け取るということで和解が成立しました。
本事例に学ぶこと
境界の確認を行う際に、所有権の合意までなされているのかが問題となるケースで、境界の確認を行うための打ち合わせで話された内容次第では、所有権の合意までは認定できないことを経験しました。
弁護士 村本拓哉