質問

新築マンションを、第1期販売で購入しました。第1期販売でしたのでマンションは未完成状態でしたが、その物件の広告には全戸南向きとの表示がなされていました。

ところが、完成後入居するとほぼ南西に近い状態でした。この場合、売主業者に対して損害賠償請求を求めたりすることはできるでしょうか。

回答

本件の場合、日照の減少に伴う光熱費の増加、快適性の減少、中古物件としての価値下落分を損害賠償請求することは可能と思われます(ただし、その積算は難しい点もありますが。)。

マンションの場合、その向きにより、日照時間の差異が生じやすいところ、未完成物件の場合、それを現地確認することはできませんから、売主業者は販売時点でより正確な説明をすることが求められていると考えることができます。

ところが、このような場合、売主業者は①南西も広い意味で「南向き」であることにかわりがないであるとか、②設計図書には記載がある(図面上)というような反論をしてくることもあります。

この点、①については未完成物件の場合より正確な説明義務があるとされているわけですから、反論として認められる可能性は低いといえるでしょう。ただし、事実上の南西ではなくほぼ南向き程度であればこのような反論が認められる可能性はあるでしょう。

また、②についても、買主が設計図面の記載まで確認することを求めるのは酷といえますから、やはり反論として認められる可能性は低いのではないかと思います。ただし、重要事項説明書や現地案内所の販売員の補足説明で正確には南向きではないとの点が買主に伝わっていれば、その限りで売主業者の反論が認められる可能性もあります。