賃貸しているマンションやアパート、戸建てに、見知らぬ人物が占拠しているという場合、どのように明け渡しを行えばいいのでしょうか。

今回は、さいたま市大宮区で30年以上の歴史を持ち、不動産に関する法律相談に注力し、また「不動産専門チーム」を擁する弁護士法人グリーンリーフ法律事務所が、こうした場合の対処法について解説を行います。

明け渡しの原則

明け渡しの原則

明け渡しを実現する場合には、裁判である「建物明け渡し請求訴訟」を提起し、判決を得て、それでも明け渡してくれない場合には、強制執行という手続を行って明け渡しを実現しなければいけません。

TVドラマなどでは、大家さんや不動産業者が鍵を変えたり、荷物を勝手に搬出したりするシーンが見られますが、こうした行為は「自力救済」と呼ばれ、原則として禁止されます。

場合によっては、違法な行為と評価される可能性すらありますので、注意が必要です。

明け渡し請求訴訟の流れ

①占有者の特定

明け渡し請求訴訟の流れ

訴訟提起には、訴訟の相手方、すなわちマンション、アパート、戸建てを現に占有している人物の特定が必要になります。

以前、その部屋や戸建てを借りていた借主が居座っているという場合には、その借主が占有者である可能性が高いと言えます。

占有者が不明の場合は、後で解説します。

②明渡等請求訴訟の提起

②明渡等請求訴訟の提起

占有者の特定後は、建物の明渡しを求める訴訟を提起します。

併せて、建物が利用できないことによる、賃料相当損害金の請求もします。

③明渡しを命じる判決

③明渡しを命じる判決

明渡しを命じる判決が言い渡されます。

それでもなお、占有者が建物を明け渡さない場合は、次の強制執行に進みます。

④強制執行

④強制執行

判決言渡し後も建物の占有者が建物を明け渡さない場合は、明け渡しの強制執行という手続をおこないます。

この手続きは、裁判所の執行官が主宰して行います。

最初に催告と言って、口頭で明け渡す義務があることを説明します。

その後も指定した期日までに明け渡しをしない場合には、断行と言って、実際に荷物を運び出します。

⑤明け渡しの完了

⑤明け渡しの完了

強制執行の終了により、明け渡しが完了することになります。

占有者が不明の場合の対処法

占有者が不明の場合の対処法

占有者が不明な場合には、占有移転禁止の仮処分、という手続を行います。

仮処分というのは、本案(裁判。本件の場合は、建物明け渡し請求訴訟のことです)の結論を待っていては権利保護の実現が遅れてしまうような場合に行うことのできる、仮の裁判です。

判決は、被告とされた人にしか効力を持ちませんので、例えば、被告Aに命じられた物件甲の明渡しの判決も、実際に占有しているのがBだった場合には、強制執行できなくなります。

そこで、占有移転禁止の仮処分で占有者を特定してしまいます。

例えば、占有移転禁止の仮処分で占有者として特定されたのがY氏であれば、その後に提起するY氏を被告とする明け渡しの判決が確定し、その間にZ氏がその建物を使い始めても、Y氏に対する判決でZ氏への強制執行をすることができるのです。

この占有移転禁止の仮処分は、占有を移転させてしまう(他人を代わりに住まわせたり、他人を賃貸人の承諾なく同居させたりするなど)危険性がある場合だけでなく、占有者が分からない場合にも申し立てることが可能です。

占有者不明で申立てを行い、仮処分の決定が出た後は保全執行という手続を申立て、実際に執行官が現地に赴き、占有者を特定します。この特定された占有者を相手に、建物明け渡し請求訴訟を提起し、判決を得て、強制執行を行います。

このようにして、占有者が不明の場合でも、占有者を特定し、明け渡しの裁判を起こすことが可能になります。

なお、占有移転禁止の仮処分の決定を裁判所に出してもらうためには、占有を移転する危険性があることや、占有者が不明な事情をきちんと説明できるようにしなければいけないことに注意が必要です。

また、仮処分は、正式な裁判の前に一定の権利制限を相手方に課すものなので、本案の裁判で敗訴した場合に備え、一定の保証金を供託する必要があります。

占有者不明の場合の建物明渡しとグリーンリーフ法律事務所

弁護士法人グリーンリーフ法律事務所の特徴

開設以来数多くの不動産に関する案件・相談に対応してきた弁護士法人グリーンリーフ法律事務所には、不動産に精通した弁護士が数多く在籍し、また、不動産専門チームも設置しています。

宅地建物取引士向けの法定講習講師を担当している他、マンション管理士、マンション管理業務主任者、宅地建物取引主任者試験(現・宅地建物取引士)に合格した弁護士も在籍しています。

埼玉県内の不動産業者の皆様を会員とする「アネットクラブ」も主宰しています。

このように、弁護士法人グリーンリーフ法律事務所・不動産専門チームの弁護士は、不動産案件や不動産に関する法律相談を日々研究しておりますので、占有者不明の場合の建物明け渡し請求について、自信を持って対応できます。

最後に

最後に

占有者不明の賃貸マンション・アパート・戸建てにお悩みの皆様は、ぜひ、弁護士法人グリーンリーフ法律事務所にご相談ください。

不動産案件・相談に精通した弁護士が回答いたします。

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グリーンリーフ法律事務所は、設立以来30年以上の実績があり、17名の弁護士が所属する、埼玉県ではトップクラスの法律事務所です。 また、各分野について専門チームを設けており、ご依頼を受けた場合は、専門チームの弁護士が担当します。まずは、一度お気軽にご相談ください。

■この記事を書いた弁護士
弁護士法人グリーンリーフ法律事務所
弁護士 野田 泰彦
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