Aさんは、自分の自宅を売却しよう思い、不動産会社を通して、Bさんと、自宅の土地建物の売買契約を結びました。実は、Aさんは、隣に住んでいるCさんと、土地の境界について争いがあったのですが、そのことを深く考えず、また、仲介の不動産会社にもそのことを言わないまま、売買契約を結んでしまったのです。
ところで、AさんとBさんとの売買契約書には、
■ 「売主は買主に対し、本物件の引渡しのときまでに、現地において隣地との境界を明示しなければならない」、
■ 「売主または買主がこの契約に定める債務を履行しないときは、その相手方は、相当の期間を定めたうえで、この契約を解除できる。契約が解除された場合、2割の違約金を支払う」、
という条文がありました(一般的な売買契約書にもこのような条文があります)。
つまり、土地建物の引渡し(つまり、残代金を支払ってもらう決済時)までに、隣人のCさんに立ち会ってもらって、Bさんに境界を明示しなければならず、これができなければ、Bさんから売買契約を解除され、しかも、Bさんに違約金を支払わなければならないということです。
結局、Aさんは、土地建物引渡しの時までに、Cさんとの争いを解決することができず、Bさんに境界を明示することができなかったため、Bさんから売買契約を解除され、Bさんに違約金を支払うことになってしまいました。境界に争いがあるときは、その争いが解決するまで、売買契約をするべきではなかったのです。