Bさんは、Aさんから土地建物を購入しました。仲介業者はC社でした。購入後、Bさんが、引越し準備のために子どもを連れて、この物件を訪れた際、隣人の「うるさい。ガキ」、「前の入居者みたいに追い出してやる。覚悟しな」との怒鳴り声が聞こえてきました。また、同時に、大音量の音楽が鳴り響き、物件にホースによって放水がされました。

Bさんは、どうすることもできず、警察を呼ぶことにしました。また、この出来事により、Bさんは、「この物件では平穏な生活をすることはできない」と判断し、引っ越すことなく入居を断念しました。その後、Bさんは、AさんとC社に対して損害賠償請求をしました。

この事案では、裁判所は、AさんとC社の説明義務違反(隣人の迷惑行為について説明する義務を怠ったことによる責任)を認め、売買代金の20%に相当する損害賠償金の支払を命じました。

Aさんに対する判断
→ Aは、C社に仲介を依頼しており、このような場合、説明義務を負うのはC社であり、Aには原則として説明義務はない。
   しかし、AがBから直接説明を求められた場合は、説明を求められた事項がBに重大な不利益をもたらす恐れがあり、契約を締結するかどうかの判断に影響を及ぼすことが予想されるときは、Aは、隣人の迷惑行為について説明をしなければならない。
  Aは、この説明をする義務を怠っている。

C社に対する判断
 → 不動産会社は、隣人が迷惑行為を行う可能性が高く、その程度も著しいなど、購入者が物件に居住するのに支障を来たすような客観的な事情を認識した場合は、この隣人についての説明義務がある。
C社は、問題ある隣人の存在を認識していたと認定でき、C社にはBに対する説明義務違反がある。

迷惑行為を行う隣人の存在は、物件自体の性能とは関係ないのですが、場合によっては説明する義務があるということですから注意が必要です。