紛争の内容
賃貸人である原告は、賃借人である被告との間で、平成21年5月31日、マンションの一室を、賃貸期間を2年、賃料を月額5万7000円(共益費込み)と定めて賃貸借契約を締結しました。その後、契約が更新されましたが、平成24年3月31日、被告から、原告に対し、契約の解約の申入れがされ、平成24年4月30日をもって明渡しがされました。

それに伴い、原告は、被告に対し、いわゆるクリーニング特約(畳の表替えの費用、部屋全体のクリーニング費用)に基づく費用(合計5万4000円(税別))、及び、故意・過失に基づく損傷部分の費用(2万5000円(税別))について、敷金5万4000円を差し引いた金額である金2万8950円を請求しました。しかし、被告は、説明を受けていない、そのような特約は消費者契約法に反し無効であるなどと反論し、任意に支払うことはありませんでした。

そのため、原告は、簡易裁判所において、賃借人及び連帯保証人に対して、金2万8950円を請求する訴訟を起こした事案です。

交渉・調停・訴訟などの経過
上記の通り、交渉段階では解決せず。
訴訟においては、第1回口頭弁論期日は被告らが欠席するも、その後の第2回口頭弁論期日において、当方から反論の準備書面及び類似事例の判決書など(敷金の返還を求められた事案において、クリーニング特約の有効性が認められた事案の判決書。原審・控訴審において当事務所が勝ち取った判決。もっとも、本件と異なり、特約部分が強調されているなどの事情がありました。)を提出するなどして、裁判所を味方に付けて、有利な内容での和解をすることができました。

本事例の結末
金2万円を支払うという和解により終了しました。

本事例に学ぶこと
いわゆるクリーニング特約の有効性については、主張・立証方法如何によっては、和解により有利に解決することができる場合もあります。