紛争の内容
隣地所有者が依頼者の土地を長年占有していた事例です。
依頼者の土地にはA市が管理する道路が敷設されていましたが、A市がこの道路を廃止し、新道路を建設することになりました。そして、新道路工事に着工するために土地の境界を新たに定める必要が生じ、A市より、旧道よりも南側にずれる新道路に沿って新たな土地の境界を定めるという提案がなされました。
この案は、依頼者の土地が拡大する結果を生むもので依頼者に有利な案でしたが、土地の拡大部分で隣地所有者が土を掘ったり、樹木を植えたり、電柱の敷設を許可していましたので、依頼者はこれらの原状回復についても要求をしました。この点に関して、訴訟外での合意がまとまらなかったため、隣地所有者がA市に対する境界確定訴訟を提起し、A市が依頼者に対して訴訟に参加するよう要求したため、依頼者が訴訟による境界確定の手続きに引き込まれました。

交渉・調停・訴訟などの経過
 隣地所有者とA市の間では土地の境界自体に争いがなく、新道路建設のために早く境界を決めたいという意向がありました。それに対し、依頼者と私どもは、拡大される土地部分が従前から依頼者の所有に属する土地であったわけであるから、隣地所有者が土の埋め戻し、樹木の撤去、電柱の移転手続きをしなければ、境界確定には応じないと主張しました。

本事例の結末
 結果として、当方の主張が認められ、土の埋め戻し、樹木の撤去、電柱の移設手続きを約束する和解を取り付けました。

本事例に学ぶこと
 所有権に基づいて依頼者の権利を実現する方法を学びました。