紛争の内容
A、B兄弟は、母親が亡くなったため、母親名義の土地(4筆)を2分の1ずつ相続することにし、その旨の相続登記をした。この4筆の土地はひと続きになっており、2筆の土地上に跨ってAの自宅が、1筆の土地上にはAの事務所が建っており、残り1筆の土地はAの貸し出す駐車場として使用されていた。
相続登記から半年も経たないうちに、Bが上記4筆の土地につき共有物分割を求める訴訟を提起してきたため、Aからの依頼を受けて訴訟に臨んだ。
交渉・調停・訴訟などの経過
Bは当初「現物での分割を希望する」と主張していたが、土地の現在の利用状況から言っても、Aがこれらを単独で取得するのが望ましく、こちらから粘り強く代償分割の方法(Aが持分相当額を支払って、Bの共有持分を取得する方法)を提案し、最終的にはBもこれを受け入れた。
土地の評価額についてはABの意見が対立し、結局、裁判所の選任した鑑定人の鑑定結果で双方合意することとし、その鑑定結果に基づいて算出されるBの持分相当額をAが一括で支払うことにより、Bの持分をAが買い取ることになった。
本事例の結末
和解成立。
共有する土地4筆につき、AがBに対し、約4,000万円を一括して支払い、Bの持分を買い取った。
本事例に学ぶこと
本件のような土地の利用状況に照らすと、そもそもの遺産分割の段階で相続の仕方に工夫ができていれば、避けられたかもしれない紛争であった。
弁護士 田中智美