紛争の内容
 依頼者はマンション1室の賃貸人。賃借人は物件にて居酒屋を経営。厨房床面のグリーストラップ周りから床下に浸水が発生し、階下の駐車場に水が漏れる状態であった。また、厨房から駐車場につながる排気ダクトも油汚れで火災のおそれがあった。そのため、賃借人の方から、修繕を請求された。

交渉・調停・訴訟などの経過
 本件賃貸借契約が居抜契約であり、①店舗の造作(厨房設備一式など)については修繕費用を賃借人が負担するという条項があること②前借主である中華料理屋は漏水問題を起こしたことがなく、元借主の用法が悪い為に床面からの浸水が発生している可能性があることを主張して、修繕義務を拒んだ。また、申立人側及びもう1つの相手方である管理組合の任意保険が利用できる可能性を主張して、申立人や組合に対する修繕費用の支払いを拒んだ。

本事例の結末
 調停不成立。

本事例に学ぶこと
 賃貸借契約書において修繕の費用負担について具体的な定めがない場合、貸主が修繕義務を拒むことが難しいことを学んだ。