紛争の内容
 とある不動産会社との間で、農地である不動産の売買契約を締結し、農地転用等の許可が整った後に、登記を移転する約定をして、所有権移転請求権仮登記が設定されていました。
 しかし、契約後、二年近く経ちましたが、一向に、農地転用等が整わず、そのため売買代金の支払時期が到来せず(約定による)、会社からの進捗報告もほとんどなされませんでした。
 そこで、この不動産会社との契約を白紙として、仮登記を抹消してもらいたいとの依頼がありました。

交渉・調停・訴訟などの経過
 早速、法的に解除権の行使ができるかを精査した上、方針(スケジュール)を立て、交渉に取り掛かりました。今回ですと、なぜ、解除が認められるのかという点を法的に構成する必要がありました。その上で、解除通知書を会社宛に送付しました。
 その後、会社側から連絡を受け、面談などを行った上、仮登記の抹消をすべきことを強調し、会社側の費用負担(登記等)で、仮登記の抹消を受け入れてもらいました。
 なお、仮登記の抹消は、裁判で求めることもできますが、裁判の準備や裁判にかかる期間を考えると、任意に抹消してもらうに越したことはありませんでした。
 
本事例の結末
 その結果、解除の合意をして、会社側の司法書士に依頼し、比較的短期間で、仮登記の抹消をすることができました。

本事例に学ぶこと
 仮登記が付されていると、別の不動産業者などが売買に応じてくれることはほぼありませんので、いつまでも売買代金も支払われず、仮登記があるため他に売却もできず、固定資産税などは発生し続ける、という事態もあります。
 売買契約は、そう簡単には解除できませんが、債務不履行に当たり得る事情を慎重に検討すれば、解除できることもあります。
 不動産については、当事務所の代表を含め、複数の詳しい弁護士がおりますので、まずはお気軽にご相談ください。

弁護士 時田剛志