紛争の内容
ご依頼者は、近隣住民の屋根修理のためにたまたま近くに来ていたという職人から、「あなたの家も屋根を直した方が良い」などと言われ、施工会社を紹介してもらったとのことでした。
ご依頼者はその施工会社に屋根の修理を依頼したところ、施工会社より、雨漏りの恐れが生じるような極めて不備のある施工をされてしまいました。そこで、ご依頼者は、施工会社に施工のやり直しを求めましたが、納得できる説明もないままにやり直しもされず、請負代金の支払だけを求められたとのことでした。
また、自宅には足場や資材がそのままにされるなどされ、ご依頼者は非常にお困りになられていました。
交渉・調停・訴訟等の経過
当職らに交渉事件としてご依頼をいただきましたので、早速、当職らより相手方である施工会社へ連絡文を送付し、施工方法について施工図を用いた具体的な説明がなかったことや、内容不明なままの施工をされてしまったこと、及び、雨漏りの恐れが生じるような極めて不備のある施工がされていたことなどを主張し、請負代金を支払う義務がないことを主張しました。
また、ご依頼者としては、早期解決を図りたいというご意向であったため、原状回復のための費用負担までは相手方に求めず、本件請負工事を合意解約とし、現場の足場と資材の撤去、及び、双方が何ら債権債務を負わないという内容で、合意ができないかという提案をいたしました。
本事例の結末
当職らと相手方において、交渉を重ねた結果、相手方も施工不備があったことを認め、また、紛争の早期解決のため、本件請負契約を合意解約とし、双方が債権債務を負わないこと、及び、相手方の処理及び費用負担にて足場と資材の撤去をするという内容で、合意を成立させることができました。
また、当職らを介して、上記の内容で合意書の取り交しを行うこともできました。
結果として、当初のご依頼のご意向通り、請負代金を支払わずに解決を図ることができました。
本事例に学ぶこと
屋根の修理など、営業で来た施工会社に依頼することがあると思いますが、本来は修理不要であるにもかかわらず直ちに工事をした方がいいなどと騙って無理やり工事契約を締結させるというトラブルも起きていますし、そのような騙りがなくてもその施工会社が誠実に施工を行ってくれるとは限りません。施工内容については、施工会社に施工図を用いた説明をしてもらったり、連絡をしっかりと取り合うことが可能な信頼できる会社に依頼することが大切だといえます。
もし、騙されて不必要な工事契約を結んでしまったという場合や、契約と異なる不備のある施工をされてお困りの場合には、弊所の弁護士にご相談ください。
当該事案において、請負代金を支払う義務を負わなければならないのか、また、支払義務について交渉をすることが出来るのか等について、法的な観点からアドバイスをさせていただきます。
弁護士 相川一ゑ
弁護士 渡邉千晃