紛争の内容
A社は、貸主であるB社から本件建物において●●業の許可が出る旨の説明を受けたことを理由に、B社との間で賃貸借契約を締結したものの、実際は●●業の許可が下りず想定していた用途での利用ができなくなったことを理由に、B社に対して、敷金返還請求及び約2000万円の損害賠償の請求をしました。
B社は、上記請求を受けたことを理由に、当事務所に相談し、依頼を受けました。

交渉・調停・訴訟等の経過

B社から、A社との賃貸借契約を締結するに至った経緯を詳細に聞き取りつつ、証拠収集に努めました。
訴訟内では、双方主張書面でもって主張をし合い、期日が進行しました。

本事例の結末
双方書面での主張を尽くした後、裁判官からの心証を聞いた結果、B社にとって有利な心証を得ることができました(具体的には、B社に説明義務違反は認められないという心証を得ました)。
その後、双方和解での解決ができないか協議した結果、「B社が、A社に対して、A社請求額の約10分の1での金員を支払う」旨の和解を成立させることが出来ました。

本事例に学ぶこと
一方当事者が、契約の締結に先立ち、信義則上の説明義務に違反して、契約を締結するか否かに関する判断に影響を及ぼすべき情報を他方当時者へ提供しなかった場合には、一方当事者は、他方当事者が当該契約を締結したことにより被った損害につき、不法行為による賠償責任を負うケースがございます。
したがって、契約締結の際には、特に「事実と異なることを伝えない」、「説明すべきことについてはしっかり説明する」ことに気を付ける必要があります。

※本件のようなご相談・受任は、顧問契約を締結してくださっている会社様や、ご紹介の方に限らせていただいておりますので、ご了承ください。

弁護士 野田 泰彦
弁護士 安田 伸一朗