紛争の内容
賃借物件の明渡しの有無、及び、退去に伴う原状回復作業の範囲について争いがあり、敷金の返還を請求できるのか否かが問題となった事件です。
交渉・調停・訴訟などの経過
事業用の土地と建物を賃借していた方から依頼を受けました。ご依頼の事件では、退去の際に原状回復をどこまで行うのかについて、賃借人と賃貸人の方との間で争いとなり、賃借期間の終了日よりも後に一応の原状回復が終わったという事情がありました。その結果、賃貸人の方は賃借期間の終了日に明渡しが完了しておらず、不法占拠による損害金が発生していると主張し、また、必要な原状回復が完了していないとしてその費用を賃借人の方へ請求すると主張して、賃借人の方が賃貸人の方へお預けしていた敷金からこれらの損害金と原状回復費用を差し引くことを主張しました。反対に、賃貸人の方は、建物の鍵を返還しているために明渡しは完了していると主張し、また、原状回復もまた完了していると主張して、敷金の返還を請求しました。
本事例の結末
この事件は訴訟になりましたが、土地の明渡しが完了していることや、原状回復が完了しているという賃借人の方の主張が概ね認められて、敷金の約75%を賃貸人の方が返還するという裁判上の和解が成立しました。
本事例に学ぶこと
明渡しや原状回復が完了していないと賃貸人の方が主張する事件で、賃借人の方が明渡しの完了や原状回復の完了を主張する方法を学びました。
弁護士 村本 拓哉