紛争の内容
ご依頼者様は不動産の賃貸業者でした。
アパートの賃借人が家賃を支払わなくなったため、ご自身で建物明渡し及び未払い賃料等の支払いを求めて訴訟を提起し、勝訴判決を得ました。
しかしながら、(元)賃借人は建物を明渡したものの、未払い賃料等については、一向に支払ってきませんでした。
そこで、弊所に未払い賃料等の回収をご依頼されました。

交渉・調停・訴訟などの経過
本件では、上記判決という債務名義がすでにありましたので、すぐに強制執行をして未払い賃料等の回収をはかることになりました。
弁護士による調査で、(元)賃借人の預金口座の存在が判明しましたので、まずはその預金債権について差押えをする債権差押命令申立事件を提起し、無事に差押えをすることができました。
しかしながら、この預金口座にはほとんど預金が無かったため、未払い賃料等を回収することができませんでした。
次に、さらなる調査で(元)賃借人の就業先が判明しましたので、この就業先での給料(給料債権)について債権差押命令申立事件を提起しました。

本事例の結末
ここで、(元)賃借人は、おそらく大変なプレッシャーを感じたのだと思われますが、未払い賃料等の全額を一括で支払うから差押えをやめて欲しいと連絡をしてきました。
その後、(元)賃借人より未払い賃料等の全額を一括で回収することができました。

本事例に学ぶこと
例え裁判で負けたとしても、任意に義務を履行しない事案というのは、残念ながら一定数あるところです。そのような場合でも、諦めず強制執行に臨めば、強制執行によって回収を達成することはもちろん、相手方からの任意の履行を引き出せることもあります。
一方で、本件では、預貯金口座の調査や差押命令を得るのにある程度の費用が掛かっているのも事実です。
費用対効果(かかる費用と実際に回収できる金額)あるいは目的によっては、必ず強制執行するべきとも言えないのが、このような事案の難しいところになります。
もし強制執行に臨むとするならばどれくらい費用・時間がかかるのか、回収可能性はどの程度か等、弁護士からアドバイスすることもできますので、お気軽にお問い合わせください。
※ご相談をお受けできない分野もございますので予めご了承ください。

弁護士 榎本 誉
弁護士 木村綾菜