質問
私は、知り合いの宅建業者に戸建て住宅の購入にあたり物件を紹介してくれないかと話をしたところ、紹介してもらった物件を気に入ったので、それを購入することにしました。しかし、売買代金額が高かったので一度断り、その後、私自身が売主と直接交渉して金額を下げてもらい、かつ、物件の引渡時期も早めてもらい、結局購入することにしました。
ところが、知り合いの宅建業者が仲介手数料を支払って欲しいと言ってきたのですが、仲介の契約書も作成していないのに支払をしなければならないのでしょうか。
回答
宅建業者は物件を仲介する場合、法定の事項を記載した書面を交付することが必要とされていますので、その書面の交付がない場合、宅建業法違反に問われることになります。
しかし、仲介の依頼を受ける契約、これを媒介契約といいますが、この媒介契約自体は契約書を作成しなくても成立するとされていますから、物件紹介の依頼内容によっては媒介契約が成立すると可能性があります。
ただし、上記の書面がない場合、宅建業者が媒介契約の成立を証拠によって立証するのはかなり困難になると思われます。
次に、本件では、仮に媒介契約が成立していたとしても、買主が一度断りを入れてその後直接売主と契約しているので、宅建業者の媒介行為により契約が成立したかどうか問題となります。宅建業者は少なくとも物件をはじめに紹介しているわけですから、その後、物件案内をし売主側とも交渉をしたということがあれば、報酬を請求できる可能性があります。ただし、宅建業法所定の報酬全額ではなく一部に留まる可能性が高いと思われます。