紛争の内容
相手方が依頼者である自動車販売店へ相手方が所有する車の修理を依頼したが、修理に不備があったため、何回か修理が行われました。
修理は完了しましたが、相手方が車の引き取りを拒否しており、販売店の敷地内駐車場に車が置かれたままになっていたため、依頼者の土地の所有権が侵害されていました。
また、依頼者が相手方に対し、修理が完了するまで代車を貸し渡しましたが、修理が完了したにもかかわらず、相手方は代車の返還を拒否していました。

交渉・調停・訴訟などの経過
弁護士から相手方に対し、預かり車両の引き取り及び代車の返還を求める書面を数回送付しましたが、相手方が応じなかったため、土地明渡(預かり車両の引取り)及び代車の引渡しを求める訴訟を提起しました。
訴状送達において、相手方の居住実体が不明確であったため、弁護士が相手方の住所の送達場所調査を行い、付郵便送達が行われました。

本事例の結末
相手方は裁判に欠席し、書面も提出しなかったため、請求認容判決が出されました。
判決が言い渡された後、強制執行が行われるまでの間、弁護士から相手方に対し、預かり車両の引き取り及び代車の返還を求める旨の連絡を行いました。
その結果、相手方が自分の車を任意に引き取りに来たため、土地明渡の強制執行については申立を取り下げました。代車の引渡しについては、任意の引渡しがなされなかったため、強制執行がなされ、最終的に依頼者は代車を取り戻すことができました。

本事例に学ぶこと
今回の事例は、相手方が代車を処分してしまう可能性も考えられたため、弁護士も書面の送付や訴訟提起を迅速に行い、結果的に早期に依頼者の目的を達成することができました。今回のように緊急性の高い事案では、可能な限り迅速に対応をすることが重要です。
また、判決内容の任意の履行を求めれば、今回のように相手方が任意の履行に応じてくれることもあるため、相手方に対し、粘り強く任意の履行を求めるのも一つの方法と言えます。

弁護士 田中 智美
弁護士 権田健一郎