紛争の内容
土地所有者代理人弁護士より、所有者名義人の自動車の撤去を求める通知を受けているころから、相談があった事件です。
車両の所有者名義人は、当該車両の所有者名義を移転する手続き準備中、当該車両の譲受人との連絡が取れなくなり、名義を移転することができないままであったところ、民事紛争土地上への放置された車両の所有者名義人として、訴訟を提起されたものです。
交渉・調停・訴訟などの経過
東京地裁において、訴訟が提起され、被告代理人に就任しました。
本件車両の名義の転々を説明し、現在、当該車両の実質的所有者は、本件車両の使用者名義人から譲受人であるとして、関連資料と共に主張しました。
東京地裁係属中に、当該車両の実質的所有者が、さいたま地裁において、報酬請求の別訴を提起していることが判明しました。
そこで、さいたま地裁原告に連絡を取り、東京地裁での車両は、当該譲受人の所有であることを主張してくれるか打診しましたところ、当方に協力してくれるということになりました。
そこで、東京地裁に係属する証に、本件車両の実質的車両の所有者を相手取って、訴訟告知をし、訴訟への関与を促しました。同所有者には、代理人弁護士が就任していないため、補助参加申出書を起案して、同所有者に提出を促しました。
補助参加人としての所有者とも期日調整し、原告、被告の各代理人及び補助参加人が期日に出頭し、主張の整理が行われ、補助参加人が、本件放置車両は補助参加人の所有であることを改めて表明しました。
裁判所は、実質的な審理を終結し、同期日まで、オンラインでの書面による準備期日であったため、改めて口頭弁論期日を指定し、そこで、判決の言渡し期日を指定することとなりました。
これを受け、原告代理人は、訴訟を取り下げる意向を表明しました。
本事例の結末
改めて、裁判所に原告代理人から、取下げの意向を表明する連絡があり、指定期日が取り消され、手続きは休止となりました。
この休止の1カ月の期間内に、改めて、弁論の再開を求める期日指定の申立てがない場合には、「休止満了」による訴えの取下げとなることになります。
結果、1か月以内、原告から弁論再開を求める申立てがなく、訴えは取下げとなりました。当方依頼者の実質的勝訴です。
本事例に学ぶこと
依頼者は、使用者名義人からの依頼の事情もあって、所有者名義人として車両登録していました。その後、車両の所有権移転の登録手続きがなされないままに、実質所有者の民事トラブルに巻き込まれ、所有者名義人の車両が放置車両となり、土地所有権侵害状態をもたらした妨害者として、訴訟に巻き込まれたものです。
長期にわたる車検切れ車両でもあったことから、継続車検を経ての、車両名義の変更もかなわないまま、長期間にわたって、所有者名義のままだったものから、紛争に巻き込まれてしまいました。
登録名義移転の未了ないし放置された場合の問題が顕著に表れた事例です。
弁護士 榎本 誉