紛争の内容
依頼者の方は、相手方の会社に対し工場を貸していました。依頼者は、賃料を滞納するようになった後も支払をしてもらうよう交渉を続けていました。相手方は「支払う」というものの支払わず、滞納賃料が300万円を超えてしまったため、明け渡しを求めることとしました。
交渉・調停・訴訟などの経過
賃料の一括支払いを求めましたが、具体的な支払い方法につき連絡がなく、明け渡しを求めて訴えを提起しました。第1回目の期日にて相手方より弁護士に依頼する予定との答弁がありましたので、第2回期日が設けられました。しかし、第2回期日では相手方は出廷をしなかったため、判決となり、明け渡しを認める判決がでました。
本事例の結末
明け渡しの強制執行手続きに移行しようとしたところ、相手方代理人弁護士から、
①相手方会社は破産の方針である
②機械等の譲渡が可能な別の会社があり、引続きその方へ賃借をしてもらえないか
との連絡がありました。
また、連帯保証人に対する賃料債務の免除もしてもらえないかとの連絡も合わせてありました。
依頼者の方に検討をしてもらい、新たな賃貸借契約を締結することとし、連帯保証人に対する賃料債務の免除も行うこととしました。相手方が新たな賃借人である会社に対し機械を譲渡することにより、その占有を離れたということが観念できますので、機械の譲渡契約及び新たな賃貸借契約を締結することで、事件終了ということになりました。
本事例に学ぶこと
この事例は、新たな賃借人が見つかり、新たな賃借人との間で賃貸借の条件につき合意ができたため、オーナー様に明け渡しの執行費用等がかからずに終了できたという事情があります。
相手方が倒産(破産)する場合には、未払いの賃料、明け渡しをした際の執行費用の回収も不可能になることが多いと言えます。賃料滞納をした後に明け渡しを求める場合、それらの費用の回収をする方法としては、新たに賃借するなど別の方法によることになることが考えられます。なお、その際には、後に法的紛争が生じないよう、さまざまな点で合意をしておく必要があります。
早期解決のためにも、滞納金が一定程度ある場合には、明け渡しの検討をしてみてはいかがでしょうか。