事案の内容
ある会社法人Aは、自社が有するアパートの一室をBに賃貸していましたが、当該Bが突然死亡してしまいました。同居人もなく、Bの残置物の撤去はもちろんのこと、未納賃料がかさむことを恐れたAは早期にアパートの明渡など本賃貸借契約清算のために対応したいと考え、弁護士に依頼しました。
事案の経過(交渉・調停・訴訟など)
まず、Aの代理人としてBの相続人を調査しました。戸籍をたどったところ、Bには娘Cがいましたが、Cに対し明け渡しを求める通知をしたものの、同人は相続放棄をしてしまい、またAとの交渉に応じないという態度を示しました。
やむなく次順位の相続人となるBの姉Dに連絡をしたところ、Dからは未納となっている賃料などの請求や明渡にかかる費用などを請求しないことを条件に、明渡と賃貸借契約解除に同意する旨の承諾をいただけることになりました。
本事例の結末
残されたBの唯一の相続人Dとは、上記合意書を正式に書面で交わし、本件は無事訴訟等を経ずに賃貸借契約の終了をすることができました。
本事例に学ぶこと
賃貸借契約の借主が亡くなった場合、その後の対応は相続人の有無によっても大きく異なってきます。まずは相続人調査からも、弁護士の対応をした方が早く済むケースもあると感じました。
弁護士 相川 一ゑ