紛争の内容
埼玉県内の土地を、10年にわたり借地人Aに貸していた地主Bさんは、ある時期からAからの地代が入金されないことに悩んでいました。

Aは、この借地上に小さな住居建物と、事業用の建物を1棟ずつ、計2棟建てて使用していましたが、Bさんが調べたところ、Aは約1年前に死亡していることが明らかになりました。

建物はそのままになっており、地代も入らないことに困り果てたBさんは、弁護士に依頼し、この建物の収去だけでもしてもらおうと考えました。

交渉・調停・訴訟等の経過
依頼を受けた弁護士にてAのことを調査したところ、Aには子も、親も、きょうだいもおらず、甥姪も存在しないことが明らかになりました。
そこで、Aの相続財産を対象として、特別代理人という本件に関する限りでの代理人を裁判所に選任してもらい、建物収去土地明渡訴訟及び強制執行をすることとなりました。

本事例の結末
結果として、Aには相続人もおらず、収去した建物にも見るべき財産はなかったため、未納地代の回収はできず、建物収去の費用等は全てBさん自身の負担となってしまいましたが、BさんはAから明渡を受けた土地を、新たに駐車場にして、賃料収入を得られるようになりました。

本事例に学ぶこと
借地人や借家人が死亡し、賃貸人が困ってしまうという例は近年少なくありません。
相続人が存在すればその者に対し請求すればよいのですが、そのような関係者が存在しない場合には、特別代理人による手続も検討するのが解決方法としてあると感じました。

弁護士 相川 一ゑ