紛争の内容
依頼者は県中央部にある倉庫をとある運送業者に賃貸していました。この倉庫賃貸借については、その倉庫が小規模であることもあって、管理会社や仲介会社を入れることもなく、契約書も交わさずに5年以上にわたり問題ない状態が続いていました。しかし、ある時からこの運送業者の経営状態が悪化し、賃料を全く払わなくなってしまったのです。しかし、貸主も最初はこれまでの取引もあったことや、1か月あたりの賃料が少額だったこともあり、賃料の催促や解約の解除なども考えていませんでした。そのようにして特にアクションを起こさないまま、結局2年が経過してしまい、依頼者もこの倉庫を自分で使いたいと考えるようになり、未納となっていた2年分の賃料と、契約の解除・倉庫の明渡を求めたいとして弊所に事件をお願いすることになりました。
交渉・調停・訴訟などの経過
まず、弁護士から賃借人である運送業者に手紙を送ることにしたものの、同社の本店所在地はもぬけのからで、経済活動がどこでなされているか分からなかったため、同社の代表者個人の家に通知を送ることにしました。それでも反応がなかったため、最終的に訴訟を提起し、賃借人は争わずに依頼者の勝訴が確定したため、当職は勝訴判決をもって明渡の強制執行を申立てました。
本事例の結末
賃借人は自主的な明渡もしなかったため、執行補助業者に倉庫内に残っていた荷物の処理をしてもらい、断行により事件終了となりました。
本事例に学ぶこと
残念ながら、賃借人の運送業者の財産所在は分からず未納賃料の回収はできなかったのですが、訴訟への踏切が早ければ早いほど、この回収不可のダメージも小さくできると感じました。
弁護士 相川 一ゑ