紛争の内容
1 草加市所在物件の賃借人平成26年5月に死亡。
2 貸室残置物をコンテナボックスに移動。貸室は原状回復未了。
3 第三順位の相続人の一人は、相続放棄する予定と述べる。
4 未清算案件として、埼玉支店が対応。
5 相続人調査後、各相続人に照会したところ、いずれも、管轄家裁において、相続放棄受理済み。
6 損害拡大を防止するために、亡佐々木勇相続財産法人を被告として、特別代理人選任を伴う明渡訴訟を検討したが、コンテナボックスへの残置動産の移転については、賃借人が依頼会社でないこと等から、申立不適当と判断。
7 相続財産管理人選任による方法を提案したが、行わないと依頼者が判断した。
交渉・調停・訴訟などの経過
1 相続人調査。
2 各相続人に照会兼回答書を送付し、受理証明書ないし通知書の返送を促す。
3 相続人不存在が判明。
4 貸家の明渡であれば、未収賃料の増大を理由に、特別代理人選任が可能ではないかと考えたが、賃貸人が業者に搬出を依頼し、搬出した業者が保管している残置動産の処分の方法が障害となった。
5 相続財産管理選任の方針、費用を伝え、社内稟議にかけてもらう。
6 リスクは了解したが、今回は申立ないとの回答があった。
本事例の結末
1 相続人不存在の確定。
2 しかし、相続財産管理人選任申立てを行わないこととした。
本事例に学ぶこと
① 賃借名義人死亡後の清算対応如何。親族相続人を保証人としていれば回避できた可能性あり。
② 相続財産管理人の、予納金の壁。
弁護士 榎本 誉