紛争の内容
Ａは、Ｂに対し、Ａの所有するアパートの１室を月額6万円（最初の1か月はフリーレント）で貸し渡したが、Ｂは入居後1回も賃料の支払いをせず、4ヶ月以上賃料が支払われない状態が続いた。
Ａは、管理会社の担当者と一緒に何度もＢの部屋を訪問したが、Ｂはいつも不在で話をすることすらできなかった。

交渉・調停・訴訟などの経過
Ａの依頼を受け、賃料不払いによる契約解除を理由に物件の明渡しを求める訴訟を提起した。
Ｂは裁判にも出頭せず、部屋の明け渡しを命じる判決が言い渡されたが、その後もＢが居住を続けていたため、引き続き、判決に基づく強制執行を申し立てた。
実際に全ての荷物を搬出する断行執行の際、室内には猫が1匹残されていて、荷物とともに債権者保管（実際には、Ａの依頼した執行業者が倉庫にて飼育保管）となったが、Ｂが売却期日前に引き取りに来たため、事なきを得た。

本事例の結末
上記のとおり、判決に基づき明け渡しの強制執行をおこなって、貸し部屋の返還を受けることができた。
本事例に学ぶこと
本件のように入居後1度も賃料の入金がないというケースは珍しいが、これ以上未納の状態を拡大させないよう、早期に訴訟提起・強制執行に踏み切ったＡの判断は適切であった。

弁護士　田中　智美