紛争の内容
駐車場を貸している地主さんからのご相談でした。
賃借人は、賃料支払いが2年程度遅れ続けており、直近6カ月は、まったく賃料の入金が無い状態でした。
地主さんは、可能な限り早く出て行くことと、滞納賃料の回収をしてほしいというご希望でした。
交渉・調停・訴訟などの経過
賃借人が賃料を滞納したとしても、直ちに明け渡しが出来るわけではないので、まず、滞納賃料全額を支払うよう請求し(「催告」と言います)、催告した期間内に支払が無い場合には賃貸借契約を解除する旨の連絡を手紙で行いました。
しかし、一切の賃料が支払われませんでしたので、賃借人に対し、明け渡しを求める訴訟を提起する準備を始めました。
本事例の結末
賃借人は裁判の期日に出頭し、和解してほしいと述べました。
そこで裁判所は、具体的な入金・明け渡し予定を決めるため、一度、期日を続行することとなりました。
しかし、2回目の裁判期日には賃借人は欠席しました。
そのため、和解はせず、判決になりました。
判決後、滞納賃料を請求したところ、一度は任意で支払ってきましたが、その後は、明け渡しも賃料支払いも為されませんでした。
そのため、滞納賃料回収のため、賃借人の取引金融機関口座を差し押さえることにしました。
まず、弁護士会照会でいくつかの金融機関に問い合わせたところ、ある金融機関から、ある支店で取引があること・残高の回答が得られました。
そこで、当該金融機関の支店に対し、入金される可能性が高いと考えられる日に差押え命令が到達するよう準備し、差押えの手続きをとったところ、目論見通り残高があり、滞納額の95%程度を回収することができました。
本事例に学ぶこと
債権回収は、やみくもに金融機関に差押えを掛けても回収することが難しいのが実際です。
弁護士会照会などで事前の情報収集をした上で、残高が一番高い金額となる可能性の高い日を狙って行う等、経験やコツも必要です。
弁護士 野田 泰彦