紛争の内容
A社は、その所有する土地を月極駐車場(約50台分)として賃貸してきたが、この度、その土地を売却する必要が生じたため、各駐車場利用者に対し、契約書記載の予告期間(1か月)をとって駐車場賃貸借契約を解除する旨の通知を出した。
大多数の利用者はこの解除を受け入れ、早々に駐車場を明け渡してくれたが、ある利用者Bとの間では、A社が契約台数を間違えて駐車料金を請求するというトラブルが発生し、話ができない状態にまでこじれてしまった。
A社から依頼を受け、間に入ってBと交渉することになった。
交渉・調停・訴訟などの経過
A社が売主に土地を引き渡す期限が迫っていたため、「駐車場賃貸借契約解除を理由に土地明渡請求訴訟の提起→土地明渡の強制執行」という、通常の法的措置をとる時間はなかった。
そこで、A社が比較的近くに別の月極駐車場を所有していたことから、これを代替物件としてBに提供してみることにし、まずは、弁護士からトラブルに関してのお詫びと早期の明け渡しをお願いする書面をBに郵送した。
上記書面がBに届く頃合いを見計らって弁護士から電話したところ、BはしばらくA社の不手際を非難していたが、最終的には謝罪を受け入れてくれた。また、車の移動先として別の駐車場をこれまでと同じ条件で契約できると勧めたところ、土地引き渡しの期限までに今の駐車場を必ず明け渡す旨を約束してくれた。
本事例の結末
期限(A社が土地を売主に引き渡す期限)前に、Bから駐車場の明け渡しを受けることができた。
本事例に学ぶこと
法的には、時間をかければ駐車場の返還を確実に受けられるケースではあったものの、A社にはそのような手続きをとっている時間がなかったために、素早い交渉が求められた。早期の交渉が成功したのは、A社が代替物件を持っていて、それをBに提供できたことが大きかったと思われる。