紛争の内容
半年以上にわたり賃料を未納にしていた女性に対し、賃貸人から未納賃料の支払及び建物明渡しを求めた事案です。

交渉の経過
賃借人からは、提訴後も「任意に建物を明け渡す」などの連絡がありましたが、任意明渡しや賃料の弁済についてもまったく目処が立っていなかったため、折り合いがつかないまま第1回口頭弁論期日を迎えました。
賃借人は、期日に出廷しなかったものの、訴訟期日が始まるおよそ10分前という直前にファクシミリで「和解を希望する」という答弁書を提出していたため、裁判所からは和解をするか否かの確認がありました。
しかし、これまでの経緯から、相手方が和解に定めるような約束を守るとは思えなかったため、直ちに判決を出すよう強く求め、1回の期日で弁論終結(判決に向け、当事者双方の主張・立証が終了したとすること)をしてもらいました。

本事例の結末
1回の訴訟期日を設けるだけで、判決を受けることができ、同判決に基づいて明渡しの強制執行をすることができ、事件終了となりました。

本事例に学ぶこと
期日直前に相手方から答弁書や和解を求める旨の書類が出されることがしばしばありますが、このような場合、裁判所は和解ができるのではないかとして第2回、3回・・・と期日を設定することがあります。しかし、すでに信頼関係が破壊されているような相手方に対して、和解をして任意に履行を促すということは相当困難です。
そこで、このような場合には裁判所が和解を勧めてきても、和解ができない理由を丁寧に説明し、判決を受けるべき理由があることを丁寧に説明することが大切だと感じました。