紛争の内容
自動車修理工場が、修理依頼を受け修理完了し、所有者に引き取りを請求しても一向に取りに来ず、1年近くが経過しているという事案でした。
交渉・調停・訴訟などの経過
既に、その工場から何度も引き上げ請求の内容証明郵便を出していたので、依頼を受けてすぐ、訴訟提起をしました。
訴訟は、「土地明渡請求訴訟」です。
なぜ土地明渡と思われる方もいるかもしれませんが、引き上げを請求したにもかかわらず引き取りに来ないことにより、土地を権原なく占有しているという考え方をとるためです。
本事例の結末
結局、訴訟当日に自動車所有者は来なかったことから、こちらの言い分通りの判決が出ました。
そして、判決が確定した後に任意での引き取りの請求をしてみたものの、具体的な引き取り日時が決まらなかったことから、強制執行を行いました。
具体的には、執行官の指揮のもと専門業者によって自動車を引き上げ、保管し、売却するという手続です。
まず、催告を行います。
催告とは、裁判所職員である執行官が、任意の明け渡しを求めるため口頭で明け渡しを請求し、強制的に物を搬出する明渡断行期日(催告から1カ月以内と決まっています。)を決める手続です。
しかし、その断行期日までに引き取りに来なかったことから、止むなく断行となり、自動車は、専門業者の倉庫に保管されることになりました。
その後は、売却期日が定められ、その日までに所有者が引き取りに来ない場合には、売却されることになっていました。
ところが、売却期日の直前に所有者が引き取りに来たので、売却は行われませんでした。
本事例に学ぶこと
本件のように、預り車両について引き取りが為されないというケースは散見されると思います。
費用や手間が掛かりますが、上記のようにきちんと手続きに従って処分することが求められますし、それにより、紛争を予防することもできます。
預り車両の引き上げが為されずにお困りの場合には、当事務所までご相談ください。