紛争の内容
Mホームにてマンション建て替え(相続税対策も含む)、中途解約退去の交渉不調による事案
旧マンション取り壊し、新築の請負契約締結済み、平成29年6月1日着手予定。
交渉・調停・訴訟などの経過
1 平成29年3月下旬相談。
2 受任
 ① 最後の入居者との契約は、5月24日限り。
 ② 6月1日から、老朽化(雨漏りのための大改修不可欠)建替えのための、旧ビル取壊し養生工事着手予定。
3 賃貸人・賃借人間の交渉経緯
賃貸人によれば、下記の通り。
① 平成28年11月8日
賃貸人は、本物件の賃貸借の終期は平成29年5月24日でありますところ、更新は行わず、同期限限りとの通知(更新拒絶)
② 平成29年1月11日
賃借人賃貸人間で、賃貸借は、平成29年3月末日限りとし、同日までに、貴殿が本物件を退去の合意が成立した。
条件:転居先の賃貸借仲介手数料、引越実費を賃貸人負担(立退き料の内訳)
 ③ 賃貸人からの提案を請う旨の連絡
   賃貸人から、改めて、本件貸室退去に関しての提案をいただきたい。
4 弁護士に相談。
5 受任、提案の通知(平成29年3月31日付)
提案内容
① 本件貸室賃貸借終了、並びに早期の退去明渡へのご協力のご確認
  退去の時期に関しましては、できれば、本年4月10日までにお願いしたいと考えており、ご準備未了とのことでありましたら、遅くとも、本年4月末日まで。   
② 上記期限までの退去実現による、本件貸室の6月分相当家賃である金42万3000円の提供と預かり敷金(6万8000円)の全額のご返還合計金49万1000円。
6 4月13日、賃借人からの返答(弁護士に相談した)
 ① 賃貸借を合意解約した覚えはない。合意書はないはず。
 ② 期限まで賃貸借は有効に成立している。
 ③ 立ち退けというなら、立退き料は150万円を求める。
7 賃貸人返答(4月21日)
 ① 5月10日までの退去
 ② 立退き料100万円(合意時50万。退去時50万円)
8 賃借人返答(4月24日)
 ① 退去までに、1ヵ月半の猶予は必要(土日も就労、夜遅くまで勤務のため時間ない)
 ② 立退き料要望額の減額には応じない。150万円。
9 賃貸人の返答
  (建築スケジュール調整) 10日くらいの延期は可能。
 ① 賃借人の条件を承認する。
立退き料(金150万円。一時金100万円、残金50万円(敷金返還分含む)
退去期限6月11日
退去しない場合、一時金の全額返還。残金の支払い免除。
10 合意成立(5月5日付合意書返送)
一時金5月8日送金。
11 6月5日の退去立会(終了)

本事例の結末
6月11日(日)までに任意退去確約、ただし、立退き料金150万円
本事例に学ぶこと
退去確約は、書面で取得すること。立退き料の相場を知ること。

以上