紛争の内容
依頼者のAさんは県内の一戸建てを4人暮らしの居宅として、30代男性Bさんに賃貸していました。Bさんは、当初は賃料をきちんと支払ってくれていたものの、ある時から「給料が減らされた」などとして約定通りに支払わないようになってしまいました。その後、4か月分を超える賃料の滞納に及んだため、Aさんはやむなく弁護士に依頼し、Bさんに未納賃料と、契約の解除・建物の明渡を求めることにしました。

交渉・調停・訴訟などの経過
まず、弁護士から賃借人であるBさんに対し、Aさんに弁護士が就いたこと・未納賃料の支払と、支払いをいただけないときには賃貸借契約を解除するということを知らせる通知を送りました。Bさんは、当職に電話連絡にて、「一度では払い切らないが、分割して何とか未納額を支払う」などと述べましたが、結局期限までに未納額全額を支払ってもらうことはできなかたため、やむなく提訴をすることになりました。Bさんは、訴訟に至っても賃料未納の事実を争わなかったため、裁判は1回で終結し、依頼者Aさんの勝訴が確定したため、当職は勝訴判決をもって明渡の強制執行を申立てました。

本事例の結末
賃借人Bさんは、結局この判決を受け、自主的に建物の明渡をすると約束し、その約束の日にAさんに建物を空にして明渡をしてもらえたため、強制執行の手続を経ずに事件終了となりました。

本事例に学ぶこと
賃借人の賃料未納状態を解消することは非常に困難ですが、判決を得れば、自主的に明渡をしてもらい、強制執行の費用を浮かせられる場合も少なからずありますので、訴訟をすること自体は早いに越したことはないと感じました。

弁護士 相川 一ゑ