紛争の内容
築30年近い物件の建替えに際し、退去に応じない人物に対する、明渡交渉事件。
相手方は、元不動産会社(レオパレス)従業員、保証会社の取り立てにより、夫婦ともメンタル疾患、就業困難とのこと。
依頼者は、当初、管理会社を通じて、立退き料25万円(引越実費相当)の提供による立ち退き交渉を1年半あまり行う。その間、更新拒絶の通知、利用についての更新拒絶、正当理由解除を主張し、退去を求める。しかし、相手方は、立退き料は100万円以下はあり得ないとする。
交渉・調停・訴訟などの経過
相談を受け、判例、解説本を示し、更新拒絶が認められるためには、立退き料は100万円以上は覚悟してほしいと説明し、交渉開始。依頼者は、本年10月には旧建物の取壊し、新築建築着手希望。
当初、当職より、引越実費と転居先の初期費用相当の合計金50万円を提案するも、24か月分家賃以外はあり得ないと要求。当職は、依頼者の了解を得て、本年9月末までに退去することを条件に、同立退き料に応じる。合意時に、70万円。退去時に残金支払いで合意。
本事例の結末
合理の履行。なお、退去は10月1日土曜日になるが、退去完了。
本事例に学ぶこと
立退き料相場よりかけ離れた金額での交渉は時間の無駄。損して得取れ。
弁護士 榎本 誉