紛争の内容
とあるマンションの管理組合からの依頼を受け,マンションの一室の住人Aがマンションの管理費及び修繕積立金を支払っておらず,滞納額が200万円以上に達しておりました。
マンションの管理費や修繕積立金は,マンションに住む住民が平等に負担し,全体のために使用されるものですから,住人Aに支払いを請求し,マンションの一室以外の強制執行なども検討しましたが,いずれも功を奏しませんでした。
そこで,区分所有法59条に基づき,マンションを競売にかけて,住人Aに出て行ってもらうために,訴訟事件の依頼を受けました。
訴訟の経緯
訴訟では,住人Aに郵便が送達されたものの,裁判には出廷しませんでした。従って,2回目の期日には,判決が言渡され,勝訴することができました。その後,競売手続を申し立て,一定の時間が掛かりましたが,無事に競売が完了し,住人Aには出て行ってもらうことになりました。
本事案に学ぶこと
区分所有法59条に基づく競売の申立ては,住人の自宅を強制的に売ってしまうという手続であるため,区分所有者の共同生活上の支障が著しいことや,その他の方法で回収することができないなど,厳格な要件が定められています。従って,訴状作成の段階で,厳密に,それらの要件を満たすことを記載する必要があります。
また,マンションも築年数が古くなると,価値が著しく下がることも多く,競売の際には,買手が見つからなかったりするリスクがありますので,あらかじめ弁護士によく相談してから方針を決定するのが良いでしょう。