紛争の内容
依頼者は、相手方に対し、駐車場を貸していましたが、やがて相手方は賃料を滞納するようになりました。依頼者は、相手方に対し、自ら未払賃料の支払いを求めましたが、相手方からの反応はありませんでした。そこで、依頼者は、相手方に対し、駐車場の明渡しと未払賃料の支払いを求めたいということで、当事務所へ依頼されました。
交渉・調停・訴訟などの経過
依頼を受けた後、まずは、駐車場に置いてある自動車の所有者・使用者を調査しました。駐車場を借りている者に明渡し訴訟を提起し、勝訴しても、その駐車場においてある自動車を別の者が所有している場合には、強制執行による明渡しを実現することができないからです。
調査の結果、駐車場の賃貸借契約を締結した相手方とは別の名義人の自動車が、放置されていることがわかりました。
そこで、我々は、駐車場の賃貸借契約を締結した者と、自動車の所有者の両方を被告として、土地の明渡しと未払賃料の支払いを求める訴訟を提起しました。
本事例の結末
訴訟を提起してから約1か月半後、駐車場を借りていた相手方から弁護士に対し、自動車の所有者に連絡して駐車場から撤去し、未払賃料を支払うので、訴訟を取り下げてほしいという旨の連絡がありました。
そこで、我々は、駐車場から車が撤去されたことと、未払賃料全額が支払われたことを確認したうえで、訴訟を取り下げ、本件は解決に至りました。
本事例に学ぶこと
駐車場の明渡しを求める場合、訴訟で勝訴しても、相手方が任意に明け渡さなければ、強制執行までおこなうことになります。しかし、本件のように、訴訟段階で相手方が任意に明渡しに応じることもあり、そのような場合には、短期間かつ少ない費用で解決することができます(本件では、依頼をいただいてから約3か月半後に、駐車場が明け渡されています。)。
強制執行までの費用や期間を考えると、弁護士への依頼を躊躇されることもあるかと思いますが、そのまま放置していても問題が解決する可能性は非常に低いですし、本件のように短期間で解決することもあります。賃料の未払いにお困りの方は、弁護士への依頼も積極的に考えていただければと思います。