さて、賃料滞納を理由に賃貸借契約を解除するためには、その解除の意思表示を記した通知書(内容証明郵便)が賃借人に到達しなければなりません。
ところが、賃借人の中には、内容証明郵便を受け取らない人(受取拒否)や、不在時に来た郵便を取りに行かない人(留置期間満了による差戻し)、知らぬ間に転居していたり行方不明になっている人(「宛てどころ尋ねあたらず」との付箋がつけられての返送されてくる)もいます。
このように賃借人が内容証明郵便を受け取らない場合、いつまで経っても契約を解除できないのかというと、そんなことはなく、然るべき対処方法があります。
まず、賃貸物件での居住が確認できる場合には、内容証明郵便と同内容の通知書を特定記録郵便でも発送しておくことです。
特定記録郵便であれば、賃借人の受取サインは不要で、そのままポストインされ、差出人側は、インターネット上の番号追跡で、その特定記録郵便が何月何日に賃借人のもとに届いたかを確認することができます。
これにより、賃借人が通知書を実際に読んでいるかどうかに関係なく、特定記録郵便が届いた日から催告期間を経過する日までに支払いがなければ、契約を解除することができます。
次に、転居先が不明だったり行方不明になっている場合には、弁護士が住民票の異動を調査し、判明した新たな住所地に通知書を送る方法があります。
調査を尽くしても居所が分からないケースでは、公示送達の申立とともに明渡訴訟を提起して、訴訟の中で解除の意思表示を行う方法があります。
このように、何らかの方法で意思表示の到達、契約解除の効果を発生させることができますので、ご安心下さい。